前方進入法による人工股関節置換術(DAA)及び高周波の鎮痛で人工膝関節置換術(TKR)は一人一人の患者に最適な手術法を見つけ出すため、ナビゲーション・コンピューターと特別にデザインした人工関節技術により、最小侵襲手術及び新たな鎮痛治療法と組み合わせて患者の痛みを軽減し、最早で動きを取り戻す効果が期待できます。
股関節及び膝関節疾患の治療
タイでは2015年から最新の股関節置換術が開始され、大きな成功を収めています。この人工股関節置換術を用いて500名以上の患者に手術を行い、全ての患者が最小の手術傷で痛みを軽減し、迅速に回復して手術当日から歩けるようになりました。また、52名の患者には再手術の必要な股関節の脱臼や合併症などが無く、同時に両側股関節置換手術に成功しました。更に、過去に人工股関節置換手術の後で不均一な脚の長さ、人工股関節のゆるみ、脱臼、骨折、感染などの問題を抱えた十数名の患者に股関節を、前方進入法による人工股関節置換術で修復することに成功しました。
人工股関節置換術(DAA)
アジア太平洋地域における前方進入法による人工股関節置換術は特別に開発されたJointPoint™と呼ばれるナビゲーション・コンピューター技術を用いて、手術中により正確な人工股関節の位置を特定し、患者の一人一人に適した人工関節の素材を選択し、手術の後で均一な脚の長さを保つことができます。この技術は、昔のナビゲーション・コンピューターや手術支援ロボットのように患者の骨に穴をあける必要がないため、患者の手術傷が最小になり、迅速に回復できます。
さらに、バンコク国際病院は、前方進入法による人工股関節置換術に特別に創られたActis® Total Hip Systemと呼ばれる最新の人工股関節を導入しました。この人工股関節は骨が密着し易いように表面を加工され、手術中に起こり得る合併症を軽減して手術後に人工股関節の沈下を防ぐカラー(Collar)が付き、手術の成功率向上を期待できます。
通常、人工股関節置換手術の傷が太もも前面の目立ち易い場所にあるが、新たな手術法によりBIKINI Incisionと呼ばれる低侵襲手術(Minimally Invasive Surgery:MIS)で股間に手術の傷を隠すことができます。このような手術法は手術の傷を、股間である下着のラインに完璧に隠せるため、短パンや水着を着用しても目立ちません。この人工股関節置換術は従来の手術法に対して、患者の痛みを軽減し、迅速に回復し、筋肉切除が無く手術当日から歩けるようになり、外科医がより適切に人工股関節を置換でき、人工股関節の脱臼率が低く、均一な脚の長さを保ち、手術の傷がよりきれいで小さくなり、股間に手術の傷を隠すことができ、同時に両側股関節置換手術ができるなどのメリットがあります。
人工膝関節置換術(TKR)
新たな鎮痛治療法による人工膝関節置換術に関して、バンコク国際病院は、米国Joint Commission International (JCI)から国際的な基準や品質を満たす人工膝関節手術プログラムの認証を取得しました。バンコク国際病院で人工膝関節置換術の治療法を受けた患者は500名以上であり、全ての患者が手術後24時間以内で歩けるようになり、退院までに90度以上膝を曲げることができます。症状が異なる患者に合わせて個別にデザインされた治療プログラムで対応する事で、治療満足度が非常に高い(99%)です。
まずは手術の準備として、適切な膝関節のサイズを図りため、デジタルテンプレートを用いて切り取られる骨の寸法及び角度や、適切な膝関節のサイズをシミュレーションします。特に、変形性膝関節症の者、骨折の経験者や手術の経験者はBiplane Imaging (EOS)の2軸X線スキャナーで脊椎から足まで投影し、3次元画像で手術を計画します。また、高周波アブレーション(Radiofrequency Ablation)などタイで始められる鎮痛治療法を、手術中及び入院中に適用することで患者は手術後の痛みが殆ど無く、迅速に回復ができます。
ただし、変形性膝関節症の患者全員が手術必要は無く、病期に応じた治療を中心に行います。軽度の変形性膝関節症の場合は、ひざまずいたりしゃがんだりする事を禁止し、水泳、早歩き、サイクリング等膝関節に負担が少ない運動や、座って仕事をする際は膝が十分に伸びるように椅子の高さを調整し、長い時間で座る必要がある場合は20~30回ほど10秒間で膝を伸ばして脛筋肉の筋トレ、又は体重管理などをお勧めします。変形性膝関節症が重症でない場合は、症状に応じて投薬で治療することや、人工膝関節への注射で摩擦を軽減すること、又は制限する量でステロイドを投与することができます。しかし、上記の全ての治療法で効果がない場合は、手術する必要があります。
新たな鎮痛治療法
人工膝関節置換手術後の痛みは患者さんの気になるところです。バンコク国際病院は人工膝関節置換手術後の患者に対して、多剤併用、硬膜外投与に加えてゆっくりと持続的に局所麻酔薬を投与する事で筋肉の動きを麻痺せずに鎮痛できる事など、様々な鎮痛治療法を適用しました。また、リハビリは治療を成功させるために、非常に常用なポイントです。これらの方法で患者は迅速にリハビリができ、手術後2~3時間で他の鎮痛方法のような筋力低下問題がなく、歩くことができるようになります。
また、手術後の痛みを極度に恐れる患者に対して、膝関節周囲に高周波アブレーションを適用することで手術後の痛みを数か月から数年にわたって抑えることができます。この治療法は高周波で末梢神経に熱を発生させて感知機能を停止させて脳に伝わらなくなります。治療は特殊な針を膝関節の3つの関節技に挿入し、X線と超音波を併用して最大限の精度で針を誘導する方法で30分ほど掛かります。標準な高周波治療法(従来の高周波治療法)は80℃の熱量を与える高周波を使用されるが、冷却水技術で60℃に温度を低下させることができました。そのため、より高い治療効果が得られ、患者に対して手術後の痛みを極限に軽減し、迅速に回復することができます。高周波アブレーションは、人工膝関節置換手術ができない膝関節の痛みに苦しんでいる患者や、手術で治療できない慢性的な膝の痛みのある患者に対して、様々な場合で適用できます。
現在、股関節手術における鎮痛治療は、特に最新の人工股関節置換術と組み合わせることで非常に効果的です。持続的に腸骨筋膜に麻酔を投与することで股関節に繋がる複数の神経を不活性化することができます。そのため、患者は手術後2~3日間で痛みの心配なくリハビリと休養ができます。
バンコク国際病院の股関節・膝関節センターは、関節置換手術だけではなく、トータル・ジョイント・ケアのサービスを整え、提供する準備ができています。主な方針は様々な治療法で、何十年にわたって膝と股関節の問題を治療する専門知識を持ち、重度な疾患やあらゆるの関節機能障害を治療する経験が豊富な一般医師と相談医のチームを組み合わせることで、膝関節や股関節の手術後に発生する問題や合併症を対応できます。専門医、看護師、リハビリのスタッフのチームと協力して患者が良好な生活に戻るために治療し、病気と治療に関する知識を患者、家族、医師に与えて、より最適な治療法を共に選択することを特徴としています。
References:
Dr. Phonthakorn Panichkul
Joint Reconstruction and Arthroplasty Surgeon, Hip and Knee Center, Bangkok International Hospital.
Dr. Sarit Hongvilai
Arthroplasty, Trauma and Orthopedic Surgery, Hip and Knee Center, Bangkok International Hospital.
Dr. Marvin Thepsoparn
Pain Intervention Specialist and Anesthesiologist, Bangkok Hospital.